2013年9月14日土曜日

許されざる者


これは時代劇ではなく、まぎれもなく西部劇。

クリント・イーストウッド監督の名作「許されざる者」を明治初期の開拓地、北海道を舞台にリメイク。「フラガール」「悪人」の李相日がメガホンをとる。

1880年明治初期。旧幕府軍で“人斬り十兵衛”と恐れられた釜田十兵衛(渡辺謙)は人里離れた荒れ地に幼い子供たちと極貧の生活を送っていた。そこへある日ひとりの男が現れる。十兵衛の過去を知るかつての盟友・金吾(柄本明)だ。若い女郎の顔を切り刻んだ客に怒った仲間の女郎たちが客の兄弟に賞金をかけたのだ。その賞金首を一緒に狙わないかと話を持ちかける。「もう人殺しはしない」と一旦は断るが、極貧で暮らしに悩み十兵衛は金吾の後を追う。

物語の設定は本家「許されざる者」に忠実。1000ドルだった賞金が1000円だったり(笑)でもそんな細かいことよりも、北海道の大自然がみごとに「西部劇感」を演出している。よくも見つけたと感心するほどのロケーションだ。あの舞台で馬を走らせているだけで西部劇になってしまう。北海道の先住民族であるアイヌ迫害の歴史などを巧く取り込み新しい歴史の中に飲み込まれ滅びゆく者たちを際立たせる効果になっていた。



壮大なスケールで描かれる本作だが背景の大自然に負けずセットがすごい!舞台となる鷲路村は渾身のオープンセット。佐藤浩市演じる署長の居所である警察署や女郎館、旅人宿など細部までとても気合いが入っている。
そして役者も良かった。渡辺謙、佐藤浩市はもちろん脇を固める柄本明と柳楽優弥がとてもいい味を出して物語をぐっと面白いものにしている。
この純国産の「許されざる者」は是非大画面で観てもらいたい。



<作品概要>
許されざる者
(2013年 日本 135分)
監督:李相日
出演:渡辺謙、佐藤浩市、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、國村隼、小澤征悦、三浦貴大、滝藤賢一、近藤芳正
配給:ワーナー・ブラザース映画


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